お香
18世紀中頃になりはじめてエルツ山脈地方のクリスマスの慣わしにお香が仲間入りしました。マタイによる福音書のクリスマスのお話のなかに、香煙は「三賢者」の有難い贈り物であると書かれています。そのことから、お香を焚くことがクリスマスの時期に行われるようになりました。お香は木炭をひいたものとつなぎとしての片栗粉を混ぜ合わせたものです。その香りはジャスミンやミルラ、ムスクあるいはシナモンなど秘密の混ぜものによります。クロッテンドルフでは当時すでに何世紀にもわたりエルツ地方特産のお香が生産されていました。
煙草吸い人形
ずっと昔からエルツ山脈地方には蝋燭台としての光の像がありました。そこでここに住む人々はあるアイデアを思いつきました。常に好まれているお香の像を燭台に応用するというものです。
煙草吸い人形誕生の時が訪れました。人形は二つの部分から構成されています。足のついた小さな土台とその上に乗せる頭と腕のついた上体です。しかしその腹部は空洞で、この空洞部分は上に行くほど細く管状になっており、この管は頭部から口の開いた部分へとつながっています。お香の先に火をつけてから煙草吸い人形のお腹の中へ置くと、煙が上昇し、口から外へ出て行きます。内部で香の火が消えないために空気をとりいれる穴が1−2個、人形の背中の下の方にあいています。
19世紀半ばは煙草の嗜好が流行していたので煙草吸い人形はすぐに世界中に広まりました。人形のモデルとなっているのはエルツ山脈地方の人々の日常の姿です。鉱山夫やきこり、森の番人など昔ながらの職業をうかがうことができます。一方、サンタクロースや雪だるまの姿も見かけます。煙草吸い人形「トルコ人」の製作はオリエンタル地方での煙草の消費量が高いことに基づいているようです。
クリスマスツリー飾り
15世紀のはじめからクリスマスツリーの装飾はドイツに於いてクリスマスのお祝いに欠かせないものでした。リンゴ・木の実・レーブクーヘンそして砂糖菓子・チーズにソーセージなどがクリスマスツリーを飾り立てました。当時はどちらかと言うと、子供たちのおやつとして考えられていました。
19世紀にクリスマスツリーを飾る習慣はヨーロッパの各地だけでなく「新世界(北アメリカ)」にも広がり、つくりものの飾りの需要が飛躍的に高まりました。以降、エルツ山脈地方ではツリー飾りが特産品となっています。
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