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2002年1月24日〜2月10日

青空に舞い上がる凧

 

第3章 躍動のペナン

Bペナンの浜

ペナンの中心街ジョージタウンは島の東部に位置する。リゾートの中心であるバトゥ・フェリンギは島の北部に位置し、ジョージタウンから車で小一時間ほどのところにある。

ここは大型ホテルや屋台レストラン、お土産屋が立ち並ぶ典型的なリゾートエリアで、多くの観光客で賑わっている。わたしたちもそんなホテルのひとつ、シャングリラで数日間、ビーチリゾートを楽しんだ。

ここは400室以上の部屋数を備えた典型的な大型リゾートホテル。どちらかというと、バンガロータイプのホテルの方が好きなわたしにとって、あまりこういうアメリカ風なホテルは快適ではない。しかし、思いがけず、スィートルームに宿泊できることになったとなれば、話は別である。

この旅行のプランは殆どヨーガンが1人で立てたのだが、その多くはインターネット経由で予約したものだった。シャングリラホテルもインターネットで予約したのだが、その際、ホテルのメンバーシップの会員に登録しておいた。登録はもちろん無料で、宿泊の度にポイントが集積され、いくらかたまると特典があるというものだ。

わたしたちは今までシャングリラに泊まったことはないが、とりあえずはメンバーということになった。チェックインの際、メンバーの特典として、25USドル追加でスイートルームにグレードアップ可能だが、どうしますか?と尋ねられた。ネットで予約した室料はもともと80USドルという超破格値(ただし「山側・バルコニー無」の部屋)だったので、わたしたちは迷わすアップグレードを申し出た。

あてがわれた部屋は角部屋で、三方がバルコニーに面している。広い寝室・リビングルーム、そしてバスルームが二つ。建物が階段状になっているので、バルコニーは階下の部屋の屋根にあたり、とても広い。100ドルちょっとでこんな部屋に泊まれるなんてなんて幸せ。(ちなみに「海側・バルコニー付き」の義母の部屋はほぼ同じ値段。)何よりも嬉しかったのは、バスルームが二つあることだったかもしれない。うちの夫はトイレが長いので、彼が使用中はわたしもリサも身支度ができないのだ。

バルコニーに立ってみる。ホテルの建物は海の方に向かって弓なりになっているので、角部屋であるここからは他の客室の様子が嫌でも目に入る。何百ものバルコニーには何百ものデッキチェアーが置かれ、何百もの人々がそれぞれの休日を過ごしている。みんな同じ方向を向いているのが、どこか滑稽だ。ホテルの前には椰子の木の間に芝生が広がり、またそこでも何百ものデッキチェアーに何百もの人々。今までマレーシアの文化や生活を垣間見てきたわたしは、このように絵に描いたようなリゾートにはは少なからず戸惑いを感じた。

しかし、それも束の間、水着に着替えて、早速その何百もの人々の一部に身をやつした。大小たくさんのプールがあり、リサは大喜び。初めて浮き輪をつけずに水の中にもぐることができた。魚のように水中を自由に動き回る娘をみて、その成長ぶりを喜ぶわたしだった。

潜るリサ

ビーチではパラグライダーやバナナボートなどのマリンスポーツが行われており、その呼び込みも盛んだ。独身時代はわたしも「ビーチボーイ」と呼ばれる呼び込みの男の子達との会話を楽しんでいたことを思い出す。パラグライダーで空中に舞い上がるときの、あの躍動感は今でも覚えている。そんなことを考えていると、目の前を馬が横切った。手綱を引かれ、浜辺をのんびりと行ったり来たりしている。これもビーチのアトラクションのひとつらしい。ドイツの女の子らしく、乗馬に憧れているリサに乗ってみたいか聞いてみると、「乗りたい。」と即答。値段を交渉して、定価の半値で通常の半分の時間だけ乗ることにする。馬引きの男は不服そうだが、乗り手がない馬を引いているよりはましだろう。(料金が高いせいかあまり人が乗っているのを見なかった。)ここでもリサは大満足。

ホテルの近くでは屋台のレストランやみやげ物やが軒を連ねる。そこでわたしたちはトリの形をした凧を買った。浜辺で凧を上げている人を何人も見かけたからだ。わたし達が買ったのは一番安い、紙でできた簡単なものだったが、それでも海風を受けて、どんどん高く登っていく。凧が上へ上へと舞い上がる力が糸を通じてわたしの腕に伝わってくる。わたしは青い青い空へぐいぐいと引っ張られる。これはパラグライダーで空中へ舞い上がるときのあの感覚と同じだ。わたしと夫と娘と義母。4人で凧揚げをしたことが、実はこの旅で最も印象に残った瞬間だった。

ペナンではこのほかに極楽寺という極彩色のお寺やフルーツファームを訪れた。極彩色のお寺は日本のお寺と比較するとかなり派手な印象をうけ、仏像も色がついていると有り難みが薄れるなぁ・・という感じがした。義母はかなり感激していたようで、狛犬の置物と中国音楽(おそらく宗教的な音楽)のCDをこのお寺のお土産屋で購入していた。お寺への参道の脇にはびっしりとお土産屋が建ち並んでいるのだが、その裏で男性が瓢箪を洗って干している姿を見かけた。「瓢箪を洗う男の図」って、なんだか墨絵のモチーフにでもなりそうな情景だと思った。

瓢箪を洗う男性

フルーツファーム(果樹園)はトロピカルフルーツが木にたわわにぶら下がっている様子を期待していたが、季節はずれで、果物はそれほどなく、木ばかり見ることになった。ガイドのお兄さんは、ダウンタウンの松本に似ているけど英語がとても上手い。ガイドに連れられてファームを回るのだが、参加者は大きな麦わら帽子を貸してもらえる。暑い中、いろいろと果物に関する説明をまじめに聞いていたわたしだが、今覚えているのは、「ナツメグはアラブではドラッグ(麻薬)のひとつに数えられている」ということだけだ。ガイドツアーのあと、参加者は冷えたフルーツの盛り合わせをもらえる。そこらじゅうになっていると思っていたマンゴやパパイヤやパッションフルーツにやっとお皿の上でめぐりあえた。

 

ウェイク・アップ・フルーツと呼ばれる酸っぱい果物と麦わら帽子のわたし

大きなイチジクの木の下で

 

つづく

これまでのお話

 

 

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