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2002年1月24日〜2月10日

人力車に乗ってるリサ

 

第3章 躍動のペナン

A人力車で巡るジョージタウン

ジョージタウンは暑い。日差しが痛いほど鋭い。そんな中を、岸壁に立つ昔の要塞まで歩いたわたし達は、かなり暑さに参っていた。途中にあった公園でリサは滑り台に登ろうとするが、暑くて梯子に触れない。こんな昼の最中に遊んでいる子供の姿もない。

公園の出口のところで客待ちをしている人力車(トライショーというらしい)のおじさんに声を掛けられる。まさにグッドタイミング。リサとヨーガン、わたしと義母の二組に分かれ、人力車に乗って市内観光。

とりあえず、腰をおろせたことで一息つくが、日差しはかわらず強いので、暑い。しかも義母と肌が密着させながら座っているので更に暑苦しい。車の通行が盛んな道路の脇をのんびりと走っていくわたしたちの人力車。自転車の前に座席がついているタイプなので、わたしたちがこの蒸し暑い空気を切りながら進んでいく。

中国系の人口が多いだけあって、町のいたるところに仏教のお寺を見かける。そのうちのひとつに入ってみる。観光のためのお寺ではなく、普通の町寺といった感じで、お寺の職員らしきおばさんが忙しそうに立ち動いている。お線香の煙と香りにつつまれた本堂の壁にふと目を遣ると、そこにはたくさんのお札がかけられてある。人力車のおじさんの説明によると、これは亡くなった人の墓標のようなもので、ところどころに見受けられる赤い札は、まだ生きている人のものらしい。つまり、生前に場所をキープしているとのこと。日本でもお墓に存命中でも赤い字で名前をいれておくが、それに似ているな、と思った。

赤札は予約札。いい場所は早めにね!

 

お寺を見学したあと、また人力車は進みだした。おじさんが幌をおろしてくれたので、ちょうどよい日陰ができ、先程までの暑さはなくなり、かなり快適になった。

そしてわたしたちはフローティング・シティとよばれる水上につくられた町を訪れた。岸辺から桟橋を何本も掛け、それに沿って高床式の家が何件も建てらて小さな集落を形成している。もともとは貧困な住民が陸地に土地を持てなかったたため、海の上に家を建てたのが始まりということだ。桟橋を先へ先へと歩いて行きながら、戸が開け放たれた家々の中をさり気なく、そして用心深く覗き込んでみる。どの家も玄関口に仏壇や仏画が飾られている。その奥の部屋からはテレビの音が流れてくる。室内は意外なほど小奇麗で片付いている。子供の笑い声。母親の叱咤する声。軒先に干されたポケモンのTシャツやビニール鞄。まるで日本の下町のような雰囲気だ。しかし、足元をに目を移すと、桟橋の隙間から黄土色に濁った水が波打っているのが見える。ここの人たちは本当に水の上で生活しているのだ。

トイレやお風呂はどうなっているんだろう。料理はどうやってするんだろう。好奇心が刺激されるが、家の中に入っていくわけにはいかない。ほとんど桟橋が終わるあたりの家の前でビーズのアクセサリーや帽子を売っている人がいた。わたしたちのように時折舞い込んでくる観光客を目当てにした商売のようで、手作りのブレスレットに思ったより高い値がつけられていた。値切ってみたけれど、「これを作るのにとても長い時間がかかった。」と言われ、結局ほぼ言い値で買ってしまった。ブレスレットを腕に巻いたリサの嬉しそうな笑顔で自分を納得させる。

 

 

つづく

これまでのお話

 

 

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